N.Y.のハイラインと高崎の居酒屋にみるクロス・プログラミング

以前、ツイッターでもつぶやいたことがありますが、私が近年で一番評価している建築プロジェクトはN.Y.のハイラインです。

http://www.thehighline.org/ 
このプロジェクトはN.Y.に以前使用されていた高架貨物線路を空中緑道として再活用するというもので第一期はすで完成しており、今後も拡張されていく予定です。
ハイラインによって、N.Y.に新しい名所が増えただけでなく、不動産開発や一般消費などの経済効果がありました。
ハイラインは荒れ果てた都市の遺産を非常にうまく再生させた都市と建築の歴史的成功例として今後も参照されていくことでしょう。
デザインチームには自分が大好きなディラー&スコフィディオが参加しています。
ディラー&スコフィディオは自分がN.Y.にいた90年代、インスタレーションや著作で活躍しましたが、実作はほとんどありませんでした。しかしながら彼らの都会的でスノッブな作風に惹かれて密かなファンでした。
当時、勤めていた事務所(隈研吾建築都市設計事務所)が借りていた青山の一軒屋の事務所が取り壊しになる前日、空間の中に点線を描くというディラー&スコフィディオのプロジェクト(WITHDRAWING HOUSE http://www.dsrny.com/)を真似て、トイレの床、壁、天井にマジックで点線を描きまくり、一人で興奮した覚えがあります。
そんな彼らが今では世界中でビッグプロジェクトを展開しているのを見ると感慨深いものがあります。
ハイラインはかつてバーナード・チュミが提唱していた建築的手法の一つ、クロス・プログラミング(建物を意図していなかった用途で使用すること)に変更が都市の活性化に大変な効果があることを再確認させてくれました。
都市や建築が面白いのは、新しいものが必ずしも良いのではなく、古くて歴史のあるものに価値がある場合が多いということです。
(新しい建築や町が「よそよそしい感じ」に見える場合がありますが、そういう場所はだんだん人が離れていく、最悪の場合は廃墟になります。新しい建築を計画する上で自分が一番注意していることが、どうしたら「よそよそしい感じ」にならず自然な雰囲気になるのかという点なのですが、、、)
しかしながら古くて歴史のあるものは、ほとんどが昔のままの使い方では使用が不可能です。だからといって壊すよりも現代に相応しい使い方を考えた方が楽しいし経済効果も期待できるということをハイラインは教えてくれるのです。
さて、ところ変わって、群馬県高崎市で興味深いクロス・プログラミングの例を見つけました。
なんと、住宅展示場だったところを用途変更して居酒屋にしています。
HPを見るかぎり、繁盛しているみたいです。
日本では大規模な用途変更(コンバージョン)は法規的(特に消防法)に大変なことが多いのですが、そんな用途変更の苦労は全く感じさせないところがすごいです。
これは歴史のある建築だけでなく、「よそよそしい感じ」の代表格である住宅展示場のような建築でもクロス・プログラミングが有用であることを証明しているのかもしれません。
今度、調査に行ってみようと思います。
カテゴリー: 日記 | 投稿日:2012年3月21日 | 投稿者:isakano

建築設計とアポロ13号

 建築を設計している時、時々アポロ13号の映画を思い出します。


アポロ13号が月に向かう途中、ロケットが故障しました。
そんな中、ロケット内の空気を清浄する装置も壊れるのです。

その後、NASAでは大きなテーブルの上にアポロ13号内にある機材など色々なものを広げ、「これらがアポロ13号の中にある全てである。これらを組み合わせて、空気清浄機の補修を考えてくれ」と科学者達に要請するシーンがあります。

優秀な科学者達は悩みに悩んで、有り合わせの材料でとうとう空気清浄機を直す組み合わせを作ってしまいます。その組み合わせはペットボトルのようなものや掃除機のホースのようなものなど、空気清浄機とは全く関係のない日用品も取り込まれた極めてアナログ的なものでした。

一方、我々建築家が設計する際、地球上にいるのにも関わらず、非常に選択肢が少ない中で建物の構成物や製品を選ばなくてはならないジレンマを感じる時があります。

特に予算が制約された住宅の設計の場合、特注のデザインが不可能なことが多く、ほとんどが大きなテーブルに広げられたカタログから選択ということも珍しくありません。

しかしながらこの選択はデザインとは違います。

そんなことで悩んでいるときにアポロ13号の大きなテーブルのシーンを思い出すのです。

限定された条件下でも諦めずに価値のあるものを構築するという強い意識がそこにはありました。

諦めないで考えれば思わぬ組み合わせが発見され、価値あるデザインが立ち上がってくるのです。

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2012年3月2日 | 投稿者:isakano

Think House Project 2012

 皆さん明けましておめでとうございます。

昨年は忘れられない震災があった年でした。

今年は皆さんと少しづつ、そして一杯良いことがある年にしていきたいと思います。

当事務所フラットハウスでは”Think House Project”と名付けて、これからの世界に本当に必要になる住宅を考えるプロジェクトを立ち上げました。

まずは住宅を基本から見直し、最終的には大規模建築にも生かせるアイデイアを蓄積していきたいと思います。

クライアントの皆さんは家の設計を依頼されるとき、必ず言われる3つの要望があります。

1,明るい家
2,風通しの良い家
3,冬暖かく、夏涼しい家

単純な要望ですが、実はこの3つのすべてを満たすことは決して簡単ではありません。

それは、実際に設計をしてみるとわかります。

たった3つの要望なのに、たくさんの妨害するな事柄(敷地の条件、建築基準法等の法規、サッシの規定寸法、構造的な制約等々)が私たちの行く手を塞ぎます。

これまで、この3つを大金を積み力技でそれらを解決するか、なんとなくごまかしごまかし気持ちの良い家にもっていく(これが設計のテクニックの一つかも知れませんが、)しか方法がありませんでした。

その一方で、相変わらず、全面ガラス張り等アート性の高い住宅がメディアを賑わせています。

アート性の高い住宅は決して悪いわけではありませんが、それは建築の進化の過程での特殊解でしかないのではという疑問を感じていました。

昨年はそんな状況で起こった震災でした。

一つ興味深いことがあります。それは被災地では全面ガラス張りの建物の計画が無いということです。

被災地では基本的な性能を持たない特殊解のような建築は必要とされていなく、むしろそれは不謹慎という暗黙の了解があるのではないでしょうか。

その考え方は被災地だけでなく、日本全国そして世界に広がっていくと思います。

1,明るい家
2,風通しの良い家
3,冬暖かく、夏涼しい家

フラットハウスでは、住宅の性能と空間を本質から見直し、アート性でごまかさず、このたった3つのことを簡単に満たす方法を確立していきます。

”Think House”

flat houseにご期待ください。

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2012年1月13日 | 投稿者:isakano

土地の見分け方(2)

 土地見分け(2)

おまたせしました。

土地見分け(1)で予告した通り、

今回は角地を見分けについて紹介します。

ここに2つ角地A,Bがあるとします。

Aは北西角地、Bは北東角地です。

角地1

さて、あなたはどちらを選びますか?

今回も位に注目します。

といっても、北西、北東という大まかな位はあまり重要ではありません。

実は微妙に振れている針向が鍵となります。

まず、A土地を見てみますと敷地真北側には道路だけでなくて、隣地も存在することになります。

、B土地は敷地真北側には道路しか存在しません。

角地2

そこで、AとB建物断面は以下ように想定できます。

建築基準法で規定される高度斜線は道路側は有利なんですね。

角地3

もう、お分かりですね。

今回はB土地を選ぶが正解です。(一般論です)

皆さん土地見分けるときは「位」が大事ですよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年12月9日 | 投稿者:isakano

土地の見分け方 (1)

 土地の見分け方 (1)

twitterのおかげでブログを放ったらかしにしていたら、

ブログが広告で埋まってしまうことを知り、慌ててブログ書いています。
たまには有用な事をと思い、住宅のための土地をお探しの方に役に立つ話題にしたいと思います

皆さんは土地を探すとき、何を基準に選んでいますか?

1 環境
2 建ぺい率、容積率
3 交通の便
4 日当り
5 面積
6 価格

こんな感じでしょうか。

しかしながら、建築家が家を設計する際、最も知りたい情報の一つに「方位」があります。建物を設計する上で「方位」は日当り以上の意味を持つのです。他にも「用途地域」とか必要な情報はたくさんありますが、「方位」によって建てられる建物のボリュームが劇的に違うのです。

例えば、ここに三種類の土地があるとします。
土地1

違うのは方位だけです。(他の条件は同じとします。角地ではありません)

さあ、あなたはどの土地を選びますか?(ただし、都内などの密集地の場合)

私なら迷わず、まずCは切り捨てます。

何故か?その理由は建物の断面を考えると分かります。
土地2

Cは建物は真北方位から短方向に高度斜線がかかり、建物のボリュームは法規上バッサリ切られます。つまり、容積率でたくさん建てられると思っていたら見当違いな結果になってしまいます。

それでは、AとBの長て断面をを見て見ましょう。
土地3

Aは南側に道路、北側に隣地という条件。反対にBは北側に道路、南側に隣地となっています。

さあ、あなたならどっち?

法規上許容される建物のボリューム、高さを重要視する限り、Bが有利だとわかります。Aは南側に道路があり一見明るさでは有利に見えますが、Bの南側に建てられる隣家のボリュームを法規から想定すると下の図のようになり、Bの南側の日当りもあながち悪くないことがわかります。
土地4

つまり、都内において(あくまでも一般解として)有利な土地はBとなります。

特にBの南側が公園や駐車場など何らかの理由で開けている土地は最高のロケーションと言えます。

不動産の広告によくある「南面道路!」も必ずしも良いとは限らないのです。

不動産の広告を見ると、なぜか有利な土地の方が安かったり、売れ残っていたりすることがありますが、不動産屋さんが建築基準法を正確に理解していない場合があるからかもしれません。

次回は角地の土地について考えていきます。

ちなみに2011年11-12月号の雑誌LIVESに弊事務所(フラットハウス)設計監理の「なみなみの家」が掲載されております。お時間があれば是非ごらんください。

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年11月18日 | 投稿者:isakano

これからの復興

 日本の首相が変わり、ようやく東日本では本格的な復興が始まります。

文字通り津波でなにもなくなった町は無からの出発であり、コンピュータでいえば初期化された後のOSを再インストールする状態です。

幾つかの復興計画を読むとまだまだアウトラインの段階ですが、私は細かい箇所の自由なアイディアを募集するなどして、新しいまちのシーンごとの魅力のイメージを集めていくことも大事だと考えています。

そうして集まった「こんなのあったらいいね」的なアイディアを並べてながめながら議論をすればさらなるアイディアが生まれ、そこから新しい東北のまちの全体像、インフラのあり方が見えてくるのではないかと思います。

例えば、欧州にあるような電気自動車のための「充電スタンド」の普及というアイディアがでれば。それをもとにこれまで日本ではほとんど普及していない電気自動車のための充電専用パーキングの普及されたエコシティを東北で検討するのも良いでしょう。

スイスでは年間1万円弱程度で充電&駐車し放題のパーキングもあり、そういったまちづくりが電気自動車を普及する原動力になっています。

または、「電柱や電線がない美しい風景」という意見があれば、それをもとに新しい東北の風景や景観条例を考えていくのも良いでしょう。

復興では短期の雇用や被災者の衣食住の問題、震災時に被害が少ない町づくりの検討ももちろん重要ですが、もともと豊かな自然を背景に持つ東北の強みを生かしてスマートで美しいまちづくりを目指していくことは、新しい東北のブランドを構築する上でまたとないチャンスとなるのではないでしょうか。

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年8月31日 | 投稿者:isakano

夏の中国

 先月中国の広州に行く機会がありました。

見本市の視察で行ったのですが、今回の中国で一番印象に残ったのが、日が暮れてからの歩道です。

歩道に面して建てられているマンションでは一階部分の殆どが店舗か小さな仕事場になっています。

すべてのマンションの2階部分は1階部分より張り出しているので、歩道の庇として貢献しています。(このあたりが民間レベルではなく、必ず政府レベルで建物計画ができる国の強みですね)

広州スケッチ1

店舗は歩道に延長するように営業しています。

ビリヤード屋さんはビリヤードを当たり前のようにビリヤード台を歩道に置いています。

飲食店のテーブルはお店内部から歩道に伸びています。

夜は歩道にたくさん椅子を置き、テレビを皆で見ていました。

その隣の小さな工場では歩道に対して出入口を全開にして、何人かでミシンを回していました。(中国には仕事がたくさんあるので残業をしているのでしょうか?)

広州スケッチ2

これらはバスでの移動中に見た光景ですが、歩道に面してブースごとに全く異なることが展開され、その一つ一つにパワーを感じました。

また、公園では夜は社交ダンスがあり、朝は太極拳の人で賑わいます。

案外開かれたコミュニティがあり、それを皆楽しんでいるなあという印象を受けました。

これからどんどん変わる国なので、次回はどうなっているか楽しみです。

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年8月12日 | 投稿者:isakano

明るさ再考

 計画停電以降、東京の駅は暗くなりました。

西日本からの出張の帰り、東京駅の中に入ると一瞬工事中かな?と勘違いしてしまうくらいです。しかしながら、今まで暗くなった駅を悪く言う人にあったことがありません。
「ヨーロッパの駅みたいで悪くない」とか「落ち着く」など、暗い駅に対して肯定的な意見がほとんどです。そうなると、逆に今までの駅の照度は本当に適切だったのか、という疑問が生まれます。今ではもう慣れてきましたが、私自身、駅が暗くなった当初はいい意味でインスタレーションアートのように感じました。20世紀以降のアートは当たり前だと思っていることに対して疑い批評することが目的です。そういう意味でも、暗くなった駅は十分のアートとしての資格があります。私たちは今回の暗い駅という貴重な体験をきっかけにして、駅をはじめ、他の様々な施設、さらには街全体の照明のあり方を再考する必要があるように思います。それは単なる節電という目的だけではなく、照度や照明の色を人のメンタルな部分まで考慮した照明計画のことです。(当然、安全性の考慮も忘れてはならないのですが)そうした考えをもとに各施設の照明計画を進めていけば、日本の都市はもっと素敵になっていくような気がしました。
今回の節電はそんなことを気づかせてくれたことにも大きな意味があります。
現在、駅は点灯している昼白色の蛍光灯の数が減っているだけなので、もちろん、ただ暗いだけなのですが、それだけでも「落ち着く」効果がすでにある訳ですね。考えてみると、ヨーロッパの都市だけでなく日本の古い建築や街の照明も十分暗く雰囲気があります。谷崎潤一郎の陰翳礼讃はもともと西洋批判のはずですが、いつ逆転したのでしょうか。
ともかく、今、日本人は疲れています。例えば、暗いことを売りにした「癒しコンビニ」なんてできると流行るかもしれません。

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年5月8日 | 投稿者:isakano

ロボット/未来

 ロボットが福島原発の事故で活躍しています。

例えば、アイロボット社製遠隔操作ロボット「パックボット」、これから投入される予定の日本製緊急災害対応ロボット「Quince(クインス)」は瓦礫のある通路や階段を上って放射線量を測ったり、映像を撮影したりすることができるそうです。また、ハネウェル社製遠隔操作ヘリコプター「Tホーク」は原発の上空からの撮影で一躍有名になりました。
t-hawk
T-Hawk

放射線が強い場所での瓦礫の撤去作業では無人のクレーン車も登場し、ついに私たちは映画ターミネーターのような世界、決して目指すべきではない世界に向かってしまっているのではないかと危惧してしまいます。

映画で見る「未来」の多くは「こうなっちゃいけない未来」です。

そして、大抵映画のラストではそうした「望まれざる未来」から脱却する兆しが見えたところでエンディングとなります。

「ターミネーター」、「アバター」、そしてアニメ「風の谷のナウシカ」もそうでした。

私たちは「こうなっちゃいけない未来」を想像するのが得意です。映画の中に現れる未来にはほとんど必ずダークな部分を内在しており、それが現代のリアルな世界の批評性、未来への警鐘として表現されます。

一方、私たちは「こうなりたい未来」のトータルな姿を想像するのが苦手です。
それとも、本当は得意なのにそんな未来はつまらないと思い想像しないだけなのでしょうか?

結局、私たちは今日も「こうなりたい未来」の断片をパッチワークのように想像し、繋ぎ合わせてなんとか世界を構築していくことしかできません。

ロボットの話に戻しますと、ロボットの中には有用ではないけれども、「こうなりたい未来」の断片を想像させてくれるものもあります。

例えばFest社のSmart Birdです。
スマートバード

如何でしょうか?

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年4月25日 | 投稿者:isakano

カフェ@野川公園

今日は三鷹市の野川公園に遊びに行きました。

1年半ぐらい前に、公園の真ん前という素晴らしいロケーションで設計をさせていただいた住宅があります。

ここはただの住宅ではなく、1階はカフェ+ギャラリー+アトリエとして計画をしていました。

そして本日、いよいよカフェがオープンすると聞き、遊びにいきました。

来てびっくり・・・。

あまりに完成度の高いインテリア+家具+食器+メニュー・・・。

桜の風味のする紅茶+絶品のスコーン・・・。

カフェの名前は「うふ」です。(フランス語でたまごです)

外形はキューブ型ですが、内部にたまご型(自由曲線)のカーブをした壁が特徴です。

その壁を工事中に大工さんが「たまご」と呼んでいたことからこの名前にしたそうです。

以下がカフェの情報です。
(ホームページはまだないのかな?)

住所:東京都三鷹市大沢6-3-54
(野川公園の駐車場から自由広場というエリアに5分ぐらい歩いていき、道路沿いに白いキューブの建物が目印です)
オープン:日曜の11:00~17:00のみです。

ギャラリーも今後オープン予定だそうです。

これからの季節、機会があればぜひ広くて気持ちの良い野川公園と一緒に訪れてはみませんか?

癒されますよ~。

うふカフェ2
うふカフェ3

可愛い子供用スリッパたち
うふカフェスリッパ1
うふカフェスリッパ3

sakano flathouse

カテゴリー: 日記 | 投稿日:2011年4月17日 | 投稿者:isakano